浅香沼 編
されば近くに池・沼・湿地を求めて強引にイメージを紡がん、と散策を始めた一行に呆れたのか、いつやら鴉の姿は消えていた。
しばらく歩くと…住宅街の中に沼発見! これぞ浅香沼⁉️
探し求めた浅香沼の幽玄さこそないものの、山東京伝の怪談「復讐奇談安積沼」の妖しい雰囲気が漂う。夜になると小平次の幽霊に遭遇するかも。
(探訪メモ)
日和田の地は、古代から近世にかけて記録に残され歌に詠まれた安積沼や花かつみ、あるいは中世の大蛇伝説など、伝承豊かでありながら、史跡としては何も残っていないところが興味深いです。残念ながら陸奥国風土記に記されたという浅香沼を見つけることはできませんでしたが、おおいに想像力を刺激される探訪となりました。
もっとも、浅香沼の伝承を踏まえると、見つけられなくて幸い?
(参考)
五月朔日 天気快晴。日出ノ比、宿ヲ出。壱里半来テヒハダノ宿、馬次也。町はづれ五、六丁程過テ、あさか山有。壱リ塚ノキハ也。右ノ方ニ有小山也。アサカノ沼、左ノ方谷也。皆田ニ成、沼モ少シ残ル。惣テソノ辺山ヨリ水出ル故、いづれの谷にも田有。いにしえ皆沼ナラント思也。山ノ井ハコレヨリ(道ヨリ左)西ノ方(大山ノ根)三リ程間有テ、帷子ト云村(高倉ト云宿ヨリ安達郡之内)ニ山ノ井清水ト云有。古ノにや、ふしん也。
曾良旅日記(「芭蕉 おくのほそ道」岩波文庫)
すか川を出、ささ川、郡やま、高倉のこなたの野の中に、まはり十丈あまりのぬまあり。その中に小峰あり。里の長に聞侍れば、これなん浅香のぬまなりとかたる。又そこに高さ七八丈の山あり。是を浅香山という。
前田慶次日記